弊社はAmazon・楽天市場・Qoo10・Yahoo!ショッピングなどのECモールを中心として、売上向上に向けたサービスを展開しています。
今回は日々の業務で培ったノウハウから、本記事ではリターゲティング広告について徹底的に解説をしていきます。
「リターゲティング広告を導入したいが、どの媒体から始めればいいのか?」「運用してみたが費用対効果が合っているのか判断できない」といった悩みを抱えているEC事業者様も少なくないのではないでしょうか?
リターゲティング広告とは、一度自社サイトや商品ページを訪問したことがあるユーザーに対して、再度広告を配信する手法のことです。「リタゲ広告」「リマーケティング広告」とも呼ばれ、Google広告・Meta広告(Facebook/Instagram)・Yahoo!広告など主要な広告プラットフォームすべてで利用できます。
EC事業においてリターゲティング広告が注目される理由は明確です。一般的なECサイトの訪問者のうち、初回訪問で購入まで至るユーザーはわずか1〜3%程度とされています。残りの97〜99%のユーザーは商品に一定の興味を持ちながらも、離脱してしまっています。この「離脱した見込み顧客」に再アプローチできるのがリターゲティング広告の最大の強みです。
リターゲティング広告は、他の広告手法とは明確に異なる特性を持っています。それぞれの違いを整理してみましょう。
| 広告種別 | ターゲット | 特徴 | ECでの主な活用場面 |
|---|---|---|---|
| リスティング広告 | 検索キーワードに合致する不特定ユーザー | 購買意欲が高いユーザーに届きやすい。新規獲得に強い | 新規顧客の獲得 |
| ディスプレイ広告 | 興味関心・属性でターゲティングした幅広いユーザー | 認知拡大・ブランディングに強い。CVには結びつきにくい | ブランド認知の拡大 |
| リターゲティング広告 | 過去にサイトを訪問したことがあるユーザー | すでに自社を知っているユーザーに再訴求。CVRが高い | カゴ落ち回収・購入後のリピート促進 |
リターゲティング広告は「すでに自社のことを知っているユーザー」に絞って配信できるため、広告費あたりのCVRが他の広告手法より高くなりやすいという特性があります。リスティング広告やディスプレイ広告とは役割が異なるため、組み合わせて運用することが基本です。
EC広告の費用対効果、「なんとなく運用」で終わっていませんか?
Finnerでは500店舗以上のEC支援実績をもとに、広告戦略の立案から運用代行まで一気通貫でご支援しています。弊社がご支援したある健康食品メーカー様では、広告配信設計の見直しにより売上が約1.8倍に伸長した実績があります。
店舗無料分析に申し込む(無料) →リターゲティング広告がどのように機能するのかを理解することで、より効果的な運用が可能になります。基本的な仕組みは以下のとおりです。
リターゲティング広告の基本的な仕組みは、大きく「Cookieを用いたトラッキング」と「リストベースのターゲティング」の2つに分類できます。
Cookieを用いたトラッキングは、ECサイトにタグ(コード)を設置し、サイトを訪問したユーザーのブラウザにCookie情報を保存することで実現します。配信の流れは以下のとおりです。
リストベースのターゲティングは、既存顧客のメールアドレスリストや購入履歴データをもとに広告を配信する手法です。Meta広告の「カスタムオーディエンス」やGoogle広告の「顧客リスト」機能が代表的です。メルマガ会員や過去の購入者に直接アプローチできるため、LTV向上施策として活用されます。
近年、プライバシー保護の観点からCookieに関する規制が強まっています。iPhoneのSafariブラウザではサードパーティCookieがブロックされており、2024年以降はGoogle ChromeでもCookieの段階的廃止が進んでいます。この流れに対応するため、各広告プラットフォームでは以下のような代替手法が普及してきています。
Cookie規制の影響はEC事業者にとっても無視できない課題です。特に自社ECサイトを運営している場合は、早めにファーストパーティデータの収集・活用体制を整えておくことをおすすめします。
EC事業においてリターゲティング広告を活用することで得られる主なメリットを解説していきます。
リターゲティング広告の最大のメリットは、すでに商品への興味を持っているユーザーに絞って広告を届けられる点です。まったく自社を知らないユーザーに広告を配信するよりも、一度商品ページを訪問したユーザーへの再訴求のほうがCVRは高くなります。広告予算の無駄打ちを減らし、費用対効果を高めやすいのが特徴です。
ECサイトでよく課題になる「カゴ落ち」——商品をカートに入れたまま離脱してしまうユーザーへのアプローチが可能です。カートに商品を追加したユーザーは購買意欲が非常に高い状態にあり、リターゲティング広告で「そういえばカートに入れてたな」と思い出させることで、購入完了まで引き上げる効果が期待できます。海外のデータでは、カゴ落ちリターゲティングによりCVRが通常の3〜5倍になるケースも報告されています。
既存顧客リストを活用したリターゲティングは、新規顧客への配信より低コストでリピート購入を促進できます。購入後の一定期間が経過したタイミングで「次回購入クーポン」や「関連商品」の広告を表示することで、自然な形でのリピート訴求が可能です。
弊社がご支援したオーガニック食品ブランド様では、楽天市場で獲得した顧客を自社ECに誘導するCRM設計を実施したところ、顧客あたりのLTVが1.8倍に向上した実績があります。リターゲティング広告はこのようなCRM施策とも組み合わせることで、より大きな効果を発揮します(※社名非公開)。
リターゲティング広告にはいくつかの種類があります。EC事業者として知っておきたい主要な5種類を解説していきます。
訪問したサイトの広告を、他のウェブサイトやアプリで表示させる最も基本的な手法です。バナー画像や動画クリエイティブを事前に作成し、一定期間配信します。設定が比較的シンプルで導入しやすい反面、ユーザーごとに表示内容がパーソナライズされないため、動的リターゲティングと比較するとCVRは低くなりやすいです。
ユーザーが過去に閲覧した特定の商品を広告でそのまま再表示する手法です。商品フィード(商品データ)と広告プラットフォームを連携させ、ユーザーの行動履歴に応じて広告内の商品画像・価格・商品名が自動で差し替わります。EC事業者に最もおすすめの手法で、「この前見てた商品だ」という気づきを促し、購買意欲を高める効果があります。
スマートフォンで商品を閲覧したユーザーに、PCやタブレットでも広告を表示し続ける手法です。現代のユーザーは複数デバイスを使い分けており、スマホで商品を見てPCで購入するといった行動パターンも珍しくありません。GoogleアカウントやFacebookアカウントのログイン情報を活用することで、デバイスを跨いだ一貫した広告配信が実現できます。
既存顧客のメールアドレスリストや電話番号リストを広告プラットフォームにアップロードし、特定のユーザーに絞って広告配信する手法です。Meta広告の「カスタムオーディエンス」、Google広告の「カスタマーマッチ」が代表的です。過去の購入者・メルマガ会員・休眠顧客など、セグメントを絞った精度の高い配信が可能で、リピート促進やVIP顧客向けの特別施策に活用されます。
既存顧客リストや購入者データをもとに、「似た特性を持つ新規ユーザー」を自動で抽出して広告配信する手法です。厳密には「リターゲティング」ではなく新規獲得に近い手法ですが、リターゲティングリストを起点に活用するためセットで理解しておくことが重要です。Meta広告の「類似オーディエンス」、Google広告の「類似セグメント」が代表的で、効率的な新規顧客獲得に貢献します。
一言コメント
Finner株式会社 代表取締役 荻野勇斗
500店舗以上のEC支援実績
リターゲティング広告は、ECモール出店者と自社ECサイト運営者とでは活用方法が大きく異なります。それぞれの活用場面と注意点を整理しておきましょう。
自社ECサイトの場合、タグを自由に設置できるため、リターゲティング広告の恩恵を最大限に受けられます。以下のような施策が実践しやすいです。
楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどのECモールに出店している場合は、モール側のタグ設置制約から、外部の広告プラットフォームへの直接的なリターゲティングタグ設置が制限されるケースがあります。モール出店者がリターゲティング広告を活用する際は、主に以下の2つのアプローチが取られます。
弊社がご支援したオーガニック食品ブランド様では、楽天市場で獲得した顧客を自社Shopifyサイトへ誘導する体制を構築し、Klaviyoを活用したCRMとリターゲティング施策を組み合わせることで、楽天→自社ECへの流入が月間200件以上発生するようになりました(※社名非公開)。モール出店者でも工夫次第でリターゲティング広告の恩恵を受けられます。
リターゲティング広告の費用は、活用する広告プラットフォームや業界・競合状況によって大きく異なります。基本的な相場感を把握しておきましょう。
リターゲティング広告の課金方式には主に以下の2種類があります。
| プラットフォーム | 目安CPC | 最低予算の目安 | ECでの主な活用 |
|---|---|---|---|
| Google広告(GDN) | 30〜150円 | 月5万円〜 | 幅広いサイトへの配信。動的リターゲティングも可 |
| Meta広告(Facebook/Instagram) | 50〜200円 | 月5万円〜 | カタログ広告による動的リターゲティング。D2C・コスメに強い |
| Yahoo!広告(YDN) | 30〜150円 | 月3万円〜 | Yahoo!関連サービスへのリーチ。国内ユーザーへの配信に強い |
| Amazon DSP | CPM課金(数百〜数千円/1,000imp) | 月50万円〜(ハードル高め) | Amazon外のサイトへのリーチ。Amazonの購買データ活用 |
初めてリターゲティング広告を導入する場合は、まずGoogle広告またはMeta広告から始めることをおすすめします。月5万円程度から運用実績を積みながら、効果が確認できたら予算を拡張していくアプローチが堅実です。
弊社が500店舗以上のEC支援を行ってきた中で、リターゲティング広告の運用でよく見られる失敗パターンがあります。導入前に把握しておくことで、同じ落とし穴を避けられます。
同じ広告を何度も表示し続けると、ユーザーが「しつこい」と感じて広告に嫌悪感を抱くことがあります。フリクエンシーキャップ(1ユーザーへの広告表示回数の上限)を設定せずに運用していると、かえってブランドイメージを損なうリスクがあります。一般的には1日あたり3〜5回を上限として設定することが推奨されています。
すでに商品を購入したユーザーに対して同じ商品の購入を促す広告を配信し続けると、広告費を無駄にするだけでなく、ユーザーに不快感を与えます。購入完了ページにタグを設置して「購入済みユーザーリスト」を作成し、広告配信から除外することは必須の設定です。
ウィンドウ期間とは、「サイト訪問後何日間リターゲティング広告を配信し続けるか」の設定です。この設定を長すぎると、もはや購入意欲が消えたユーザーに広告費を使い続けてしまい、短すぎると十分なアプローチができません。商品単価・検討期間に合わせた設定が必要です。
同じバナー画像を長期間使い続けると、ユーザーが広告を無意識にスルーするようになります(バナーブラインドネス)。リターゲティング広告のクリエイティブは定期的(最低でも1〜2ヶ月ごと)に差し替えることを心がけてください。また、ユーザーの訪問から経過した日数に応じてクリエイティブを変える「シーケンシャルリターゲティング」も有効です。
リターゲティング広告はあくまで「一度訪問したユーザーへの再訴求」です。サイトへの新規訪問者が少ない状態でリターゲティング広告だけを運用しても、配信対象が少なすぎて効果が出ません。リターゲティング広告の効果を最大化するには、リスティング広告やSEO・SNSなどによる新規流入の確保とセットで考えることが重要です。
リターゲティング広告を効果的に運用するために、EC事業者として押さえておきたい実践的なポイントを解説していきます。
「サイトを訪問した人全員に同じ広告を配信する」では、効果が限定的です。ユーザーの行動別にリストを分けることで、それぞれに適切なメッセージを届けられます。主な分け方としては以下が挙げられます。
動的リターゲティングは商品フィードの情報をもとに広告を生成します。在庫切れの商品・価格が変わった商品・廃番商品が広告に表示されてしまうと、ユーザー体験を損ない機会損失にもつながります。商品フィードは定期的に更新する仕組みを整えることが重要です。
ブラックフライデー・Amazonプライムデー・楽天スーパーSALE・お歳暮シーズンなど、EC特有の需要期にはリターゲティング広告の予算を増やすことで効果が高まります。セール直前は購買意欲が高まるタイミングであり、「セール開始まであと3日」「割引クーポンを配布中」などのクリエイティブに切り替えることで、購入を後押しできます。
広告のクリエイティブと遷移先のランディングページの内容にギャップがあると、CVRが落ちます。「この商品」の広告をクリックしたら「この商品のページ」に直接飛ぶ設計になっているかを確認してください。リターゲティング広告でせっかく再訪問させても、トップページに飛ばすだけでは購入率は改善しません。
リターゲティング広告の効果測定にはROAS(広告費用対効果:売上÷広告費×100)を主要KPIとして活用することをおすすめします。目標ROASを設定し、週次・月次で数値を確認しながら、配信セグメントや予算配分を調整していきましょう。「なんとなく配信してなんとなく成果を見ている」状態では改善サイクルが回りません。
リターゲティング広告は単独ではなく、メールマーケティング・LINE・定期購入など他のCRM施策と組み合わせることで効果が高まります。例えば、購入後のステップメールとリターゲティング広告を連動させ、「メールを開封していないユーザーにはリターゲティング広告でフォロー」という設計にすることで、リピート訴求の網羅率が上がります。
一言コメント
Finner株式会社 代表取締役 荻野勇斗
500店舗以上のEC支援実績
本記事では、リターゲティング広告の基本的な仕組みから種類・費用相場・よくある失敗・運用ポイントまで解説してきました。最後に重要なポイントを整理しておきます。
リターゲティング広告は適切に設計・運用することで、EC事業の売上改善に大きく貢献する施策です。ぜひ本記事を参考にしていただけますと幸いです。
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Finnerの支援実績
弊社がご支援した健康食品メーカー様では、広告配信設計の見直しと商品ページの訴求改善を組み合わせることで、Amazon売上が約1.8倍に伸長しました。「どの商品に広告費をかけるべきか」の整理から着手し、無駄打ちを削減しながら売上を維持・拡大する体制を構築しました(※社名非公開)。
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