SFAツールについて、導入時の注意点から運用までSalesforce出身者がご紹介をしています。
SFAとは「Sales Force Automation」の頭文字を取った略語で、日本語では「営業支援システム」のことです。2018年頃には日本で約30%の民間企業が導入をしていると言われており、今後もますますシェアが伸びていくと考えられています。昨今、ほとんどのSFAがクラウド型で提供されています。また料金体系としてもパッケージよりもサブスクリプション型のSaaS(Software as a Service)モデルが多くなっています。
主な目的は①売上向上②顧客満足度向上③業務生産性向上の3つです。昨今、データドリブンな経営が求められています。データドリブンとは、売上やマーケティング、オンライン上のデータなど、データに基づいて意思決定を行うことです。 以前より、ビジネスにおいてさまざまなデータに基づいてデータに基づいて意思決定を行うことは行われていましたが、あらためて重要視されています。企業としてのPDCAを回し続け、成長を継続していくためにSFAツールは重要な役割を果たすことができます。
SFAツールの主な機能は、次の4つです。
顧客管理機能
商談管理機能
活動管理機能
営業活動分析機能
それぞれについて解説します。
顧客管理機能とはお客様の会社名や担当者名、住所、連絡先などの情報を基本として、各顧客に紐づく取引情報や過去の問い合わせ情報、契約ファイルなどを一元管理する機能です。SFAツールを販売するベンダーは顧客カルテと説明することもあります。病院や美容院などのカルテ情報のように、お客様を中心として情報を管理していきます。
また取引先(担当者)ごとに、取引情報や過去の問い合わせなどを入力しておくことで、担当者の急な休みや外出中の際もスムーズな対応がとれます。
その他退職・異動などによる担当者変更の場合も引継ぎが容易になるといったメリットもあります。
商談管理機能とは、各商談の進捗状況や活動情報を一元管理するための機能です。
進捗管理については「フェーズ」と呼ばれる機能がSFAツールには備わっており、受注に至るまでのプロセスを管理し、現在の進捗状況をひと目で共有することができます。
また顧客ごとに情報を管理しているので過去の提案商品や、失注理由なども確認しながら営業活動を行うことが可能です。
商談管理の機能が備わっているメリットですが、各商談の進捗状況がひと目で確認できるため上司はスムーズに商談の情報を確認し、リアルタイムで受注率向上に向けた適切なアドバイスなどを行うことが可能です。
また、スキルアップの観点では組織としての営業ナレッジを蓄積し、営業力向上に繋げることもできます。
活動管理機能は、営業担当者の行動を可視化するための機能です。
営業担当者ごとの数値をひと目で把握することができるので、組織全体の売上向上に向けたアドバイスを上司から行うことができます。
また「マーケティングが獲得した見込み顧客のアプローチ漏れ」などの異常値確認に役立てることも可能です。
蓄積された情報を担当者・商談・取引先規模・地域・時期などさまざまな角度から分析をして、グラフなどで可視化することで企業としてのPDCAサイクルを構築していくことが可能です。また営業会議などを行っている場合、資料作成の手間も減っていくため、営業の業務生産性向上にも繋げることが可能です。
私はSalesforce在籍時にさまざまな導入失敗のパターンを見てきました。実際の経験から、SFAの導入失敗のパターンを記載します。
SFAは特に目的が明確でないと必ず失敗します。最近導入が流行っているからという理由や成果が出る可能性があるからという理由では、SFAの効果を発揮しきれない可能性があります。
自社の問題や課題を整理して、適切な戦略の元でSFA導入を検討しましょう。
私がSalesforceに在籍していたときにも非常に多く耳にしたケースです。「SFAツールを導入したはいいが、1カ月後には誰もログインしてない」という問題はどの企業でも発生する可能性があります。多くの場合、現場の声が反映されないままシステムを選定・構築してしまい、結果として現場の負担が増えるだけのシステムが導入されています。
SFAツールは改善を繰り返していくことが重要です。初期にSFAを構築して、そのまま放置されているケースを多く見てきました。月に一度は現場からの声を聞きながら、システムを再構築していくことが必要です。営業のフェーズや項目など、使われていない部分を切り捨てながらシンプルに構築していくことをおすすめします。
基本とはなりますが、クラウド型の選定をおすすめします。SFAにおいてオンプレミス型に比べ、クラウド型には大きな利点があります。一例ですが、初期の導入コストや運用コストが低いほか、SaaSモデルではサービス提供企業がシステムを自動アップデートし、常に最新の機能が提供されるため時流に合わせたシステムを使い続けることができます。その他、運用面でもシステム担当者は必要ではあるものの、専門のエンジニアや部署が不要なこともメリットと言えるでしょう。
コロナも落ち着き、営業担当者が実際にお客様に訪問することも再び増えてきました。リモートワーク時には営業担当者が常にパソコンの前にいたことも多く、面会後すぐに情報を入力することができました。しかし面着での訪問後、パソコンを触り、情報を入力することは難しくなっています。そこで営業活動の合間や、訪問直後にスマホで簡単に情報入力ができるSFAが求められます。
スマートフォンでも使いやすいSFAの選定方法ですが、iPhoneを使っている場合はAppstoreのレビューを見てみることをおすすめしています。一例ですがSalesforce社が提供するSales Cloudはレビューも高く、スマートフォンでも利用しやすいSFAツールと言えるでしょう。
SFAツール活用における根幹となる部分です。自社がどのような経営目標を設定し、目標達成に向けたKPIを設定すべきか再度検討していきましょう。
KPIの一例を下記に記載します。
架電/メール数
アポ取得数
有効商談数
商談数
受注件数
平均受注金額
売上目標達成率
経営の目標やKPIの設定が完了すると、次は営業組織に特化した問題整理と課題の特定を行っていきましょう。SFAツールを用いることでどのような問題を解決したいのか?その問題はSFAツールを用いることでどのような課題を設定できるのか、徐々にドリルダウンをして検討を進めていきましょう。
主にSFAを用いることで下記の問題解決に向けて課題を設定していくことが可能です。
行動量増加
訪問効率アップ
業務フロー効率化
報告/会議などの時間削減
営業スキルの標準化
円滑な案件引継ぎ
また営業組織の理想の形を決定しておくことは非常に重要です。一例ですがSFAツールを用いることでトップパフォーマーの営業スキルを標準化し、ここでも重要となるのが再構築です。時代により求められるスキルは変わるかと思いますので、SFAツール導入をするだけではなく改善活動を重ねていくことで、最適なSFAツールを作成してきましょう。
どのようなSFAツールを導入しても、システム管理者として1人以上の専任担当者を設置することをおすすめします。少数精鋭の企業の場合は代表や取締役が担当者となるケースも多いかと思います。SFAツールを運用に乗せる上でエンジニアレベルのITリテラシーは必要がありません。
最低限、下記の項目の入力が可能な人材を配置することをおすすめします。
・顧客情報のSFAへの登録 / CSVからのインポート
・レポート / ダッシュボード機能などの初期設定
・社内向けのマニュアル作成
・社内での運用促進
・効果測定&運用方法の変更検討
SFAツールに限らず新規でITシステムを導入する際は、既存のシステムとの連携も重要になってきます。Salesforce在籍時に多かった連携は請求書連携でした。SaaS製品は導入がしやすい一方で、あまり深く考えずにただシステムを導入していくと、現場の負担増大していいく場合があるので、注意が必要です。現場で使うツールの数はできるだけ少なくして、営業のオペレーションを如何にSFAに集約できるかどうか検討を進めていきましょう。
SFAツールの選定方法についてご紹介しました。SFAツールはその機能を活かした運用を行えば、営業部門だけでなく企業全体に大きなプラスをもたらします。
売上向上に向けて自社にとって適切なSFAに作り変えていきましょう。
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